レビューになりきれない映画評。でも、独自路線でまったりと語ります。  
 
 
 
 
 
 

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【ベンジャミン・バトン 数奇な人生】

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(2009/07/15)
ブラッド・ピットケイト・ブランシェット

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ブラッド・ピット主演作品。本年のアカデミー賞でオスカーを逃した作品ですが、実際に観てみて、なるほどな、と思われました。これはちょっとアカデミー賞はないな、と(メイクアップ賞は獲れましたが)。

巷では非常に評判が良い作品のようです。まぁ、確かに面白かった。所々はさまれた「私は雷に7回打たれた」のシーンや、デイジーが事故にあうシーンの仏映画っぽい演出など、細かい技も効いているし、それになりより、ブラッド・ピットがどんどん若返っていくのも面白い。そう、確かに面白かったのです。ですが、後に残るものが何もないのはなぜ? これだけの長い作品(167分)を観て、「面白かった」としか感想がないのも情けないものですが、ほんとにそれしか感想がない。あえて付け足すなら「で、何が言いたかったのよ?」って感じですね。

原作はスコット・フィッツジェラルドの短編ということで、ちょっと納得。未読ですがフィッツジェラルドらしい寓話性の高い作品なのでしょう。時間を遡るように時を刻む時計、その時計のように人生を遡る主人公…。老人と幼児の対比、老いとは何か、生きるとはどういう意味なのか、フィッツジェラルドなら短編小説で小粋に描くのでしょう。たぶん、「短編小説」というところにミソがあるのです。映像化してしまうと、行間がなくなってしまう。であるが故に、映画は物足りないものになってしまう。描いたようで描けていないもののほうが多いのでしょう。おそらく、半分の時間で原作を読んだほうがうんと感じるものがあるはずです。

とはいえ、ブラピ好きさんや、ケイト・ブランシェットのファンの方は見て損はないです。
ブラピがどんどん若返っていくのは、ほとんど冗談みたいでとにかく楽しいし。
(ほんとは笑うところじゃないのに、なんだか笑えてしまうのがこの作品の悲しいところ…)

ちなみに、特に「数奇な運命」とは私には思えませんでした。
外見と内面のギャップを除けば、むしろ恵まれた人生でしょう。これもまた、とってもフィッツジェラルドっぽい。繰り返しますが、この淡々とした感じは、フィッツジェラルドが原作だと思えば納得のいくものだけれど、肝心のフィンチャー監督は、いったい何を描きたかったのか不明。

特撮技術が発達したが故に、かつては映画化など考えられなかった作品が映像化されていきます。だけれど、(この作品もですが)ファンタジーは想像力で楽しむもので、「映像の力」はその大切な「想像力」を剥ぎ取ってしまう。残念なことです。

それにしても、この手の映画が普通に評価が高いのは、よく分からない現象。「ショーシャンクの空に」が異常に高い人気を博しているのと理由は同じなのかな。

 
 
 
 

【愛は霧のかなたに】

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(2003/06/03)
シガニー・ウィーバーブライアン・ブラウン

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1989年、アメリカの作品。
実在の霊長類研究者、ダイアン・フォッシーの伝記を元に作られた作品です。
映画女優としては(失礼ながら)『エイリアン』くらいのイメージしかないシガニー・ウィーバーが主演、しかもゴリラ、しかもタイトルが「愛」ということで、なんだかダメダメな映画の雰囲気が漂っているのですが、これはいたってまともな映画なので、霊長類研究、特に類人猿の研究に興味がある方や、アフリカのマウンテン・ゴリラの保護活動に興味のある方にはぜひご覧いただきたい作品です。

アメリカの作品、しかも若干過激な思想を持っていたダイアン・フォッシーの伝記が下敷きであるにも関わらず、非常に中立的な立場で、かつ丁寧に描かれている作品だと思います。
ダイアン・フォッシーが1985年にルワンダで亡くなったことを受けて、その多大なる功績を世に知らしめるためにこの作品は作られたのでしょう。興味のない方には「野生動物保護」の苦闘ぐらいにしか映らないかもしれませんが、霊長類研究に多大なる影響を与えたダイアン・フォッシーという人物を、改めて知ることのできる作品です。彼女がいなければ、おそらくマウンテンゴリラは絶滅していたであろうし、今日のゴリラ研究の霊長類学全体への貢献もなかったと思われます。

それにしても、映画と分かっていても、マウンテンゴリラが虐殺されるのは、見るに忍びない。
現在も生存の危機に瀕しているマウンテンゴリラのこを思うと、心が痛みます。現在では密猟問題は減っているとはいえ、長く続く内乱の中で彼らの生息域は分断され、個体数を減らしていると報告されています。

私自身、野生動物保護を金科玉条とする思想には嫌悪感を感じるほうなのですが、この映画で描かれたマウンテンゴリラについては、非常に難しい問題がつきまとうのです。「類人猿」と呼ばれるように、私たちヒトのごく近い仲間であるゴリラの生態は、私たちヒトがいったいどのような存在であるのかを知るために、非常に大きな知見を与えてくれる。しかしながら、研究するには保護する必要があり、保護活動とは時に地元との軋轢を生むのです。学者がただ純粋に学問的興味で持ってゴリラに接することができるなら良いのですが、学者であって学者のままではいられない、というジレンマが絶えずダイアンを苦しめたのでしょう。(より正確に言うなら、学者ですらなかったダイアンが、たった一人でゴリラを守ろうとしたこと自体が無謀であったのかもしれない。)チンパンジー研究のJ.グドール博士のように、多くの仲間を得て学者という立場から情報を発信することが、ダイアンにもできれば良かったのでしょうが、彼女は常に孤独だった。私刑に走ることしかできなかったダイアンを、誰が責めることができるのか? 

それにしても…ゴリラとシガニー・ウィーバーのシーンは、よく撮影できたものだと感心します。そのままゴリラ学者になれるのじゃないか? と思ってしまいました。
 
 
 
 

番外【劇団四季ミュージカル「昭和三部作」】

劇団四季 昭和の歴史三部作 DVD-BOX劇団四季 昭和の歴史三部作 DVD-BOX
(2009/01/23)
劇団四季

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ありがたいことにNHKハイビジョンで劇団四季のミュージカル「李香蘭」「異国の丘」「南十字星」が放送されました。8月は第二次世界大戦関係の番組や映画の放送がどうしても多くなるのですが、この三部作の放送もその関連でしょう。一応、トニー賞特集ということにはなってましたが…。

この三部作のうち、「李香蘭」は初演当時に観ていたのですが、残りの二つは未見。いやぁ、NHKさまありがとう。3部作、全部観られて幸せです。ミュージカルにずいぶん通っていた頃は、どうしてもブロードウェイやウェストエンド発の作品に興味がいってしまっていて、「李香蘭」は四季オリジナル作品だし、という位置づけから抜け出せていたかった。(この「だし」に込められた思いというのは、複雑なものです。)

でも、はじめてみてから15年近くたって、ずいぶんと私の感じ方も変わったのだなぁ、と思いました。いい作品じゃないですか、「李香蘭」。また舞台で見たくなった。3部作の中では「異国の丘」が一番好きですね。音楽的にも舞台的にも非常に完成度の高い作品だと思います。ちなみに、3部作の作曲は今年5月に亡くなられた三木たかしさん。

私くらいの年齢だと、子供時分から8月は「戦争の悲惨さを学ぼう」という教育どっぷりなので、誤解を怖れずに言えば、そういう話には辟易しているものです。戦争が悲惨なのは当たり前のことじゃないか、と言いたくなる。なので、「戦争もの作品」というのはスタンスによっては非常に胡散臭いし、批判的だったりします。そういう私ですが、この3部作については「昭和を語りつぎたい」という劇団四季の思惑どおり、非常に良いものに仕上がっていると思われます。特に説教臭くもなく、舞台としてのエンターテインメント性も損なわれていない。

以下、一言ずつ感想を。
『李香蘭』…狂言まわしの男装の麗人・川島芳子がグイグイと舞台を引っ張る。派手さはあまりないけれど、李香蘭の有名な曲も聴くことのできる秀逸な作品。ただ、伝記的作品というよりは、社会ドラマ。

『異国の丘』…シベリア抑留という重いテーマで、涙度高め。蒋政権と日本(劇中では九重内閣)との和平交渉を策略した近衛文隆(劇中では九重秀隆)の物語。アメリカが舞台の場面では、少し「ウェストサイド・ストーリー」的なダンスシーンがあったり、ソビエト場面では名曲「異国の丘」の合唱など、涙なしには見られません。三作品の中ではもっとも舞台転換の工夫が面白い「動き」のある作品です。一押し。

『南十字星』…満州、ソビエト抑留と描いてきた「昭和」。最後は南方戦線の物語です。舞台はインドネシア。バロンダンスやケチャなどバリ舞踊が舞台に華やぎを与えています。ガムランの奏でる音楽も楽しい。南方戦線というよりも、「戦犯とは何か」を考えるきっかえになるかも。


ミュージカルは生で観るものと思っていたのでが、なかなか映像でも楽しめました!
食わず嫌いはいけませんね。
  21:26 | 未分類 | Trackback:0 | Comment:0 | Top
 
 
 
 

【マンマ・ミーア!】

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(2009/06/24)
メリル・ストリープアマンダ・セイフライド

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ABBAの名曲をちりばめたブロードウェイ・ミュージカル、ミュージカル「マンマ・ミーア!」の映画版です。
このミュージカル自体、ABBAのベスト盤(表現が相変わらず古い。。)を、カタログのように集めてミュージカルに仕立てたもので、脚本ありきのものではない。ですから、ストーリーはABBAの曲を彩る添え物的なもなのですが、ABBA自体が良いのでそれで十分な感じです。

主演はメリル・ストリープ。二十歳の女の子のママにしては、ちょっとお歳が「・・・」なのですが、それが気にならないくらいにはじけまくったメリル・ストリープがすごい。すごく楽しそうに歌って演じていらっしゃる。オスカー女優なのに。歌はまぁまぁですが、十分、聴くに耐えるレベルです。親友の二人のおばちゃんもとてもよい味を出していました。

全編楽しく見られる映画です。
ABBAの曲自体、英語ネイティブでないが故にシンプルな英語でシンプルに歌い上げるので、初めて聴く方も抵抗ないのでは? と思います。(私はABBA世代ではないですが、半分以上の曲を知ってました。)でも、やはりABBAとともに青春時代を過ごした方が見るべき作品かな、と思います。

爽やかな作品で、ラストにABBAもどき(?)のライブっぽいものがついているのも楽しい。
ただ、物語終盤の、メリルとピアース・ブロスナンのキスシーンは、「ドナとサムの愛の誓い」というよりも、女優のメリル・ストリープと元ボンドのピアース・ブロスナンがいちゃいちゃしているようにしか見えなかった(とにあく爽やかでない!)のは、私が煩悩の塊だからでしょうか??

ともかく、観る人を楽しい気分にさせてくれる映画、「マンマ・ミーア!」お勧めです。
言わずもがな、ですが「Mamma Mia」= 「My Mother」です。だから映画(ミュージカル)は、母と子の物語。よくできてますよ。

*劇団四季でやっていた「マンマ・ミーア!」は未見です。だって、日本語に訳してるんでしょ? ABBAを・・・。なんだか興味沸きませんでした。英語版なら舞台で見たい。

 
 
 
 

タイトルが…【宮廷画家ゴヤは見た】

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ハビエル・バルデムナタリー・ポートマン

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原題は”Goya's Ghost”。これがどうやったら『宮廷画家ゴヤは見た』という邦題につなるのか理解に苦しみますが…。邦題を考えた方は、ちゃんと作品を見た上なのだろうか? と激しく疑問に感じます。違和感のある邦題は多いけれど、これははっきりと「失敗」と言ってよいと思う。タイトルは直感的には作品の顔ですから、このタイトルでは映画を観たいと思わせるのがものすごく大変です。ゴヤに興味のある人に気しか引けないものです。内容は、特にゴヤに関心がない人でも観るべきものなのに。
原題の「ゴヤの影/ゴースト」も難しいタイトルなのは確かなのですが(Ghostの解釈が難しい…)、「宮廷画家ゴヤは見た」は、ない。安っぽいタイトルです。

というのも、これは見てみればわかるように、かなり「通」好みの作品です。
ゴヤが生きたスペイン激動の時代(宗教弾圧やナポレオンの侵攻、その後の王政復古)を、彼が肖像画を描いた二人の人物を通して描く、いや逆ですね、二人の人物を描くことで時代を表現した作品です。監督は「アマデウス」のミロス・フォアマン。音楽の使い方なども非常に良い作品に仕上がってます。スペインだけに、ギターが多用されている。雰囲気が伝わってきます。

ナタリー・ポートマンが二役(イネス/アリシア)で出ています。これは、彼女の新境地なんじゃないでしょうか。作品的には『ブーリン家の姉妹』よりも前のものですが、こちらのほうがずっと評価されてしかるべきですし、女優として開眼している感じがします。

…と書いてきましたが、もう一度観ないと行けないかな、と思う作品。
(私自身が予備知識ほぞゼロで映画を観るせいもあって、)大事な部分を見落としていると感じます。久々に力作を見た気分なのは確か。映画好きの方にはぜひお勧めしたい一作です。
 
 
 
プロフィール
 

Author:わさきち
にゃんこの舟盛りの映画・アニメレビューを独立させてみました。ほぼ連動してますが、こちらのが若干マニアックでクドイ(苦笑)かも・・・。

ネタばれは書きません。
何事もポジティブにとらえたい性質なので、批評は前向きです。
貶すところしかないようは作品は取り上げません。

こんなスタンスです。




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