絵画美と官能の漂う作品 『真珠の耳飾りの少女』
なぜか恋愛映画に分類されている本作品。恋愛っちゃぁ恋愛だけど、なんだか違うような…。
「恋愛映画」という音の響きとは、はるか遠い所にあるように思うのです。
「青いターバンの娘」や「真珠の耳飾りの少女」と呼ばれるフェルメールの絵画にインスパイアされて書き上げられた、トレイシー・シュヴァリエの小説が原作です。「北方のモナリザ」とも評される、蠱惑的な少女の肖像ではありますが、ここまでよくエロティックに映画にできたものだ、と正直感心いたしました。私自身は、あの絵から、官能を感じたことはありません。同じ絵をみても、こういう風にインスパイアされる人もいるんだ…。
全編通して非常に繊細な美しい作品です。
絵画をよくご覧になる方なら、ところどころの色使い、光の使い方などで、まるで美術館でフェルメールの作品を鑑賞しているかのような錯覚を覚えるかもしれません。
17世紀のオランダの風景も大変美しく描かれている。
芸術家を扱った映画というのはだいたい音楽も映像も優れていることが多いですが、この作品も例にもれません。絵画の構図を参考にしながら作り上げられたという緻密な映像は楽しみどころのひとつです。
非常にセリフが少ない、というのもこの作品の特徴でしょう。登場人物の感情の起伏は言葉ではなく、微妙な表情の変化、しぐさなどで描かれているだけ。唯一、分かりやすいのは、画家の妻カタリーナ。彼女の感情の揺れが、主人公二人の関係の象徴です。
主人公である、フェルメールとグリートの二人をとってしても、触れそうでふれない手、思わず離れる二人の距離、知らずにお互いの姿を追う視線、というように、オトナな描き方。言葉も交わさず、逸らされる視線…それでもこの二人が間違いなく主人公。
フェルメールのビジュアルが、ちょっとかっこよすぎやしないか? と脳内イメージとあわせると警笛がなりますが、それさえ鑑賞時のスパイスか?
音楽が妙に緊迫感があるので、一見静謐な物語に見えながら、内で蠢くドロドロしたものとエロティシズムが伝わってきます。「真珠の耳飾り」が少女の耳に飾られるまでが一つのドラマなのですが、これがもう官能の極みなのです。お子様は観てはいけません! というか、観てもわからないと思うけれど。
芸術家を扱った作品にしては珍しく、予備知識がまったくなくとも見ることのできる作品です。芸術論などの小難しい話も一切出てきません。鑑賞を観る者にゆだねた、という意味ではこの100分以上の作品が、実は一つの絵画なのかもしれません。ですから、少しは絵画鑑賞の嗜みのある方に、お勧めしたい作品です。一枚の絵画をじっくり鑑賞できない方には、この作品はいろいろな意味で難しいでしょう。
フェルメールは謎の多い画家でもあるので、映画の題材には事欠かないような気がしますが、画家の素顔に切り込むでもなく、芸術家の魂を描くでもなく、一つの作品をとりまく物語を淡く描きだすような本作も、なかなかオツなものです。
私自身はこういう丁寧に作り込まれた作品が大好きです。
派手さはまるでありませんが、感性に訴えかけてくるものがある。
たとえば、誰かと映画館で作品を観たとき、作品についてあれこれと話したくなるような作品よりも、「なんていうか、言葉ではうまく表現できない」と言ってしまうような作品が好きです。
この作品はもちろん後者。こんなレビューを書くこと自体、無粋と思えるような作品です。それでも…ちょっとやりすぎなくらいエロスが溢れている、と感じるのは私が煩悩だらけだからなのかしらん?
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「恋愛映画」という音の響きとは、はるか遠い所にあるように思うのです。
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「青いターバンの娘」や「真珠の耳飾りの少女」と呼ばれるフェルメールの絵画にインスパイアされて書き上げられた、トレイシー・シュヴァリエの小説が原作です。「北方のモナリザ」とも評される、蠱惑的な少女の肖像ではありますが、ここまでよくエロティックに映画にできたものだ、と正直感心いたしました。私自身は、あの絵から、官能を感じたことはありません。同じ絵をみても、こういう風にインスパイアされる人もいるんだ…。
全編通して非常に繊細な美しい作品です。
絵画をよくご覧になる方なら、ところどころの色使い、光の使い方などで、まるで美術館でフェルメールの作品を鑑賞しているかのような錯覚を覚えるかもしれません。
17世紀のオランダの風景も大変美しく描かれている。
芸術家を扱った映画というのはだいたい音楽も映像も優れていることが多いですが、この作品も例にもれません。絵画の構図を参考にしながら作り上げられたという緻密な映像は楽しみどころのひとつです。
非常にセリフが少ない、というのもこの作品の特徴でしょう。登場人物の感情の起伏は言葉ではなく、微妙な表情の変化、しぐさなどで描かれているだけ。唯一、分かりやすいのは、画家の妻カタリーナ。彼女の感情の揺れが、主人公二人の関係の象徴です。
主人公である、フェルメールとグリートの二人をとってしても、触れそうでふれない手、思わず離れる二人の距離、知らずにお互いの姿を追う視線、というように、オトナな描き方。言葉も交わさず、逸らされる視線…それでもこの二人が間違いなく主人公。
フェルメールのビジュアルが、ちょっとかっこよすぎやしないか? と脳内イメージとあわせると警笛がなりますが、それさえ鑑賞時のスパイスか?
音楽が妙に緊迫感があるので、一見静謐な物語に見えながら、内で蠢くドロドロしたものとエロティシズムが伝わってきます。「真珠の耳飾り」が少女の耳に飾られるまでが一つのドラマなのですが、これがもう官能の極みなのです。お子様は観てはいけません! というか、観てもわからないと思うけれど。
芸術家を扱った作品にしては珍しく、予備知識がまったくなくとも見ることのできる作品です。芸術論などの小難しい話も一切出てきません。鑑賞を観る者にゆだねた、という意味ではこの100分以上の作品が、実は一つの絵画なのかもしれません。ですから、少しは絵画鑑賞の嗜みのある方に、お勧めしたい作品です。一枚の絵画をじっくり鑑賞できない方には、この作品はいろいろな意味で難しいでしょう。
フェルメールは謎の多い画家でもあるので、映画の題材には事欠かないような気がしますが、画家の素顔に切り込むでもなく、芸術家の魂を描くでもなく、一つの作品をとりまく物語を淡く描きだすような本作も、なかなかオツなものです。
私自身はこういう丁寧に作り込まれた作品が大好きです。
派手さはまるでありませんが、感性に訴えかけてくるものがある。
たとえば、誰かと映画館で作品を観たとき、作品についてあれこれと話したくなるような作品よりも、「なんていうか、言葉ではうまく表現できない」と言ってしまうような作品が好きです。
この作品はもちろん後者。こんなレビューを書くこと自体、無粋と思えるような作品です。それでも…ちょっとやりすぎなくらいエロスが溢れている、と感じるのは私が煩悩だらけだからなのかしらん?
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