レビューになりきれない映画評。でも、独自路線でまったりと語ります。  
 
 
 
 

【千と千尋の神隠し】 宮崎ワールド横溢、しかし…

千と千尋の神隠し (通常版)千と千尋の神隠し (通常版)
(2002/07/19)
柊瑠美入野自由

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千と千尋の神隠し(2001)


これも公開時に観たきりの作品です。
それなりに楽しみにして、公開後すぐに映画館に見に行き、それなりに楽しんだ作品です。この頃にはすでに「ジブリに過剰な期待を抱くまい」と決めていたせいもあります。

制作当時から「明らかに賞狙い」な作品なのは明らかでした。

90年代後半、宮崎アニメの評価がいま一つだったアメリカで、思い切り日本的な『もののけ姫』で戦いを挑んだが、あえなく惨敗。本当なら、『もののけ姫』で終わるはずだったのに、もう一作、アメリカで「勝てる」作品を作らざるを得なくなり、結果生まれたのが『千と千尋の神隠し』でした。

ですから、この作品は非常に面白い顔を持っている。見ようによっては、「不思議の世界へ迷い込んだ普通の少女が、たくましく成長していく」という非常にわかりやすいファンタジーの王道の物語であり、一方で、穿ってみれば、「カオナシ」の存在やら「名前を奪われる」といった、非常に哲学的な命題を社会に投げかける物語なのです。

ただし、後者にあまり深入りせず、普通の女の子の千尋が、いつのまにやらコナンも顔負けの「宮崎走り」を見せたり、やたらとおいしそうな食事の数々が並んでいたり、湯婆婆・銭婆や釜爺の独特のキャラクターデザインであったり、ススワタリが進化して手足があったり、と、宮崎ワールドを楽しんできたファンにも、とても楽しい作品となっています。

私自身は監督のメッセージが知りたいが為に映画を観るタイプではないので、宮崎さんが何を言いたいのであろうが、「アニメとして面白ければ良い」と割り切っています。重要なのは「作品を作った結果としてメッセージが伝わる」ということであって、「メッセージを伝えるために作品を作る」というのは、映画作りとしてはっきり言って間違っていると思う。

例えば、ただ美しく描こうとした絵画は、えてして人の心を動かすことがありません。なぜなら、「美しさ」とは相対的なものなのだから、誰もが「美しい」と感じるものなど描けようはずがない。絵画を観る人は、「画家が思う美しさ」を観たいのではなく、絵画に画家の技術や魂を観たいのです。映画も、同じことではないでしょうか。

宮崎監督は、「千と千尋の神隠し」の中に「この作品を観る人に、こういう風に観てもらいたい」という気持ちを込めすぎているのだと思います。初期作品にはまったくないこの力の入れようが、なんとも悲しい。

ですから、監督の考えと波長の合う人には評価が高く、合わない人には「なんじゃこれ?」という具合になる。ですが、ある意味この作品の訴える命題は、普通の感覚の人には難しすぎて伝わっていない、と私は思います。

当時の宮崎監督後自身のインタビューで記憶に残っているのは、現代人の心の象徴としての「カオナシ」の存在と、「千尋」という個性が「千」という数字(=記号)に置き換えられる現代社会の危うさ、という2点です。テーマとしても面白く、私も同意できる社会の見方ですが、作品からそれを汲むのは非常に難しいのが実際でしょう。

「メッセージ性」云々はさておき、「アニメーションとして完成度は?」と考えると、全体的に宮崎ワールドらしい楽しさに溢れていますが、一点、残念な点が。ハクが名前を取り戻すシーンが…あそこは、なんで上空で龍から人の形に戻る必要があったのだか…もう少し工夫してほしかったかな。宮崎監督らしからぬ、唐突な感じが残念です。千尋の「すごい名前! 神様みたい!!」は、いい突っ込みですね。

番台蛙の声が、大泉洋であることに、今回初めて気付きました。なかなか芸達者な演技ぶりで、感心いたしました。大泉洋って大好きですが、いつでもどこでも大泉洋以外の何物でもない、と思っていますから、ちゃんと演技できるんだ…と何気に収穫です。そして、「遊んでくれないと泣いちゃうぞ」の坊の声が、神木隆之介くん…そうだったのかぁ…。
Genre : 映画  Theme : DVDで見た映画
 
 
 
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Author:わさきち
にゃんこの舟盛りの映画・アニメレビューを独立させてみました。ほぼ連動してますが、こちらのが若干マニアックでクドイ(苦笑)かも・・・。

ネタばれは書きません。
何事もポジティブにとらえたい性質なので、批評は前向きです。
貶すところしかないようは作品は取り上げません。

こんなスタンスです。




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