レビューになりきれない映画評。でも、独自路線でまったりと語ります。
【ルワンダの涙】
ルワンダの涙(2005)
SHOOTING DOGS
原題は ”SHOOTING DOGS”
これは、いい邦題です。この邦題をつけた人の気持ち、なんだかわかりますよ。ここは理屈じゃない。
”SHOOTING DOGS”も実に意味深なタイトルなのですが、これも観てもらえればわかるかな。でも、ちょっと強烈すぎるタイトルです。
さて、何から書いてよいのか…。
ルワンダを扱ったものと言えば、『ホテル・ルワンダ』(2004)が有名ですが、私はこちらは観ていませんし、観るつもりもありません。このような映画を観ようという方は、そもそもルワンダ内戦に興味がある方だと思うので、これを読まれる方も、私のこのような言いように疑問を感じられるかもしれません。理由の一つは、少しばかり専門的な知識を持っている分野の話ですから、あまり映画で観たいと思わない、ということがあります。以前、別の映画レビューでも書いたように、リアル・アフリカを知っている人間として、白人社会のアフリカ問題の扱い方は、欺瞞にしか思えない時があるのです。
二つ目の理由は、それが特にルワンダだから、と言っておきましょう。
興味のある方はもうご存じでしょう。ルワンダの「”フツ族”と”ツチ族”の争い」は、そもそも外側からしかけられた構図でしかありません。フツもツチも、そもそも”民族”ではない。まぁ”民族の境界”などというものは、そもそも極めて政治的なものですが、ルワンダの場合はそれが残酷なジェノサイドまで発展したという意味で、それを作り上げた外側の人々の罪は重い。
ですから、『ホテル・ルワンダ』も、この『ルワンダの涙』も、そういうことをチラっと頭において観ていただけたら、と思います。
この文章を起こす前に、他のかたのご意見も読んでみた所、「『ホテル・ルワンダ』のほうがお勧め」と書いておられる方のなんと多いことか。比較するつもりで観るのであれば、やめておかれたほうがよかろう、と申し上げておきます。どちらも「実話」であると言っている以上、比較することにさほどの意味があるとは思えません。むしろ、こういった映画であっちが良いだのこっちが良いだの言えてしまうことが、日本人にとって、いかに「紛争」というものが心情的に遠いものであるかということの、証左なのだと思います。
私はどちらを観ても良かったのですが、より真実に対して真摯であるように思えた『ルワンダの涙』を選びました。そもそも、映画として楽しもうというつもはありません。
それでも、私はこの作品が結構気に入りました。それは、私に「神の愛」を語りかける物語だから・・・。カトリック神父を演じる主演のジョン・ハートが素晴らしい。私はクリスチャンではありませんが、それでもなお、彼が言うのであれば神が側におわすのだと、そう思えるかもしれない。私は無神論者で頑固な唯物論者ですから、そんな私に「神の愛」を感じさせるハートは、ほんとにすごい。ボロボロと涙がかってに流れてくるくらい、「神を近くに感じる」と言ったハートのことばが胸を打ちました。それは、たぶん私にとって、アフリカが特別な場所でもあるからなのでしょうが・・・。
ルワンダの真実がどうであるのか、それは当事者かそこにいた人でなければ分かりません。この酷いジェノサイドから、何を感じるのかも人それぞれでしょう。少し突き放した言い方ですが、それくらいに割り引いてみないと、映画よりももっとひどい真実があることを、人はすぐに忘れてしまうように思えるのです。
ある意味、実話かそうでないかということは、意味がないことです。実話であったとしても、「その人にとっての真実」があるだけです。私たちがこういった映画を観るときに大事なのは、実はそんな「誰かの真実」をシェアすることではなく、自らの想像力でもってどこまで「自分にとっての真実」を作り上げられるか、なのだと思います。そういいった「自分の真実」を持っておくことが、逆説的ですが「他人の真実」を理解することにつながります。「事実を知るために」観るのではなく、「そこからはじめるために」観る、ということも、このような映画を観るときには大切なのではないかと思います。
<マメ知識>
ツチとフツは「バンツー系民族」に属していて、両者の差は「文化的な差」とは言い難いのが実際です。一つのエスニックグループにまとめられるかどうかは別として、「民族的対立」という状況には本来はなりえない。「バンツー系」はアフリカの民族分布を考えるときには、とても大事なグループですから、整理したい方は『新書アフリカ史』でどうぞ。
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SHOOTING DOGS
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原題は ”SHOOTING DOGS”
これは、いい邦題です。この邦題をつけた人の気持ち、なんだかわかりますよ。ここは理屈じゃない。
”SHOOTING DOGS”も実に意味深なタイトルなのですが、これも観てもらえればわかるかな。でも、ちょっと強烈すぎるタイトルです。
さて、何から書いてよいのか…。
ルワンダを扱ったものと言えば、『ホテル・ルワンダ』(2004)が有名ですが、私はこちらは観ていませんし、観るつもりもありません。このような映画を観ようという方は、そもそもルワンダ内戦に興味がある方だと思うので、これを読まれる方も、私のこのような言いように疑問を感じられるかもしれません。理由の一つは、少しばかり専門的な知識を持っている分野の話ですから、あまり映画で観たいと思わない、ということがあります。以前、別の映画レビューでも書いたように、リアル・アフリカを知っている人間として、白人社会のアフリカ問題の扱い方は、欺瞞にしか思えない時があるのです。
二つ目の理由は、それが特にルワンダだから、と言っておきましょう。
興味のある方はもうご存じでしょう。ルワンダの「”フツ族”と”ツチ族”の争い」は、そもそも外側からしかけられた構図でしかありません。フツもツチも、そもそも”民族”ではない。まぁ”民族の境界”などというものは、そもそも極めて政治的なものですが、ルワンダの場合はそれが残酷なジェノサイドまで発展したという意味で、それを作り上げた外側の人々の罪は重い。
ですから、『ホテル・ルワンダ』も、この『ルワンダの涙』も、そういうことをチラっと頭において観ていただけたら、と思います。
この文章を起こす前に、他のかたのご意見も読んでみた所、「『ホテル・ルワンダ』のほうがお勧め」と書いておられる方のなんと多いことか。比較するつもりで観るのであれば、やめておかれたほうがよかろう、と申し上げておきます。どちらも「実話」であると言っている以上、比較することにさほどの意味があるとは思えません。むしろ、こういった映画であっちが良いだのこっちが良いだの言えてしまうことが、日本人にとって、いかに「紛争」というものが心情的に遠いものであるかということの、証左なのだと思います。
私はどちらを観ても良かったのですが、より真実に対して真摯であるように思えた『ルワンダの涙』を選びました。そもそも、映画として楽しもうというつもはありません。
それでも、私はこの作品が結構気に入りました。それは、私に「神の愛」を語りかける物語だから・・・。カトリック神父を演じる主演のジョン・ハートが素晴らしい。私はクリスチャンではありませんが、それでもなお、彼が言うのであれば神が側におわすのだと、そう思えるかもしれない。私は無神論者で頑固な唯物論者ですから、そんな私に「神の愛」を感じさせるハートは、ほんとにすごい。ボロボロと涙がかってに流れてくるくらい、「神を近くに感じる」と言ったハートのことばが胸を打ちました。それは、たぶん私にとって、アフリカが特別な場所でもあるからなのでしょうが・・・。
ルワンダの真実がどうであるのか、それは当事者かそこにいた人でなければ分かりません。この酷いジェノサイドから、何を感じるのかも人それぞれでしょう。少し突き放した言い方ですが、それくらいに割り引いてみないと、映画よりももっとひどい真実があることを、人はすぐに忘れてしまうように思えるのです。
ある意味、実話かそうでないかということは、意味がないことです。実話であったとしても、「その人にとっての真実」があるだけです。私たちがこういった映画を観るときに大事なのは、実はそんな「誰かの真実」をシェアすることではなく、自らの想像力でもってどこまで「自分にとっての真実」を作り上げられるか、なのだと思います。そういいった「自分の真実」を持っておくことが、逆説的ですが「他人の真実」を理解することにつながります。「事実を知るために」観るのではなく、「そこからはじめるために」観る、ということも、このような映画を観るときには大切なのではないかと思います。
<マメ知識>
ツチとフツは「バンツー系民族」に属していて、両者の差は「文化的な差」とは言い難いのが実際です。一つのエスニックグループにまとめられるかどうかは別として、「民族的対立」という状況には本来はなりえない。「バンツー系」はアフリカの民族分布を考えるときには、とても大事なグループですから、整理したい方は『新書アフリカ史』でどうぞ。
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プロフィール
Author:わさきち
にゃんこの舟盛りの映画・アニメレビューを独立させてみました。ほぼ連動してますが、こちらのが若干マニアックでクドイ(苦笑)かも・・・。
ネタばれは書きません。
何事もポジティブにとらえたい性質なので、批評は前向きです。
貶すところしかないようは作品は取り上げません。
こんなスタンスです。
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