レビューになりきれない映画評。でも、独自路線でまったりと語ります。  
 
 
 
 

『サラエボの花』は儚いけれどもたくましく咲き誇るはず・・・

サラエボの花(2006)

原題は”GRBAVICA”

「我々、グルバヴィッツァの住人は、かつてサラエボのこの地区が、すべての者がともに共存し、生活を営み、サッカーをし、音楽を奏で、愛を語らえる象徴的な場所であったことを決して忘れない。」
                             ………イビチャ・オシム氏の推薦文より

サラエボの花サラエボの花
(2008/06/06)
ミリャナ・カラノビッチ

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ベルリン国際映画祭 金熊賞など、数々の映画賞を受賞。

ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争について少しだけ予備知識が必要かと思います。
紛争自体を描いているわけでもないのに、強く紛争を描いている。正確には、その「傷跡」を…。とても良い作品だと思いますが、私は少し苦手です。

胸が痛む映画で…とにかく、痛い。

このような映画で、適当な批評を書くのはすごく難しい。

わが子に嘘をつき続けなければならない母親の苦悩。ママが大好きなのに、信じられなくなっていく娘の苦しみ。母娘二人で、寄り添って生きていければいい。そんなささやかな望みが、叶わない現実、逃れられない過去。

母親は、忘れ去ってしまいたい「過去」と向き合うしかなく、そこにあるのは民族と民族が争った国の歴史などではなく、一人の個人の歴史。

だから、娘もまた自分の出自を乗り越えて「個人」として生きていくしかない。
「若さ」が、たぶん救ってくれるのです。大きく成長していこうとする若い力が、重い過去を乗り越えて新しい世界を作る。傍観者である私たちは、それを信じるしかない。

映画としては、正直ってもう少し何かが必要だったような気がします。
ドキュメンタリーではないのだから、「事実を伝える」+何か…。はまり切らないピースがあるような、そんな中途半端さがつきまとう。良い作品だけに、「現実の重み」が先行してしまっているのが惜しまれる作品です。作品として突き放して完成度をあげるには、監督がまだ若すぎるのかな。

監督はヤスミラ・ジュバニッチ。紛争当時はティーン・エイジャーであった彼女の、本作がデビュー作。『善き人のためのソナタ』のフロリアン・ドナースマルク監督と同世代(ついでにワタクシも同世代)です。映画はすごい時代に入ってきているのかもしれません。大作ではなくとも、しっかりと「個人」を描いている作品を、私の同世代の感性が生み出す、と思うと驚愕します。

これから作品をご覧になろうという方は、公式サイトをご覧になっておけば、十分知識は足りると思います。こちらで、サッカー日本代表チームの元監督、イビチャ・オシム氏の推薦文も読むことができます。



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Author:わさきち
にゃんこの舟盛りの映画・アニメレビューを独立させてみました。ほぼ連動してますが、こちらのが若干マニアックでクドイ(苦笑)かも・・・。

ネタばれは書きません。
何事もポジティブにとらえたい性質なので、批評は前向きです。
貶すところしかないようは作品は取り上げません。

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